再販売価格基準法(RP法)の要件及び意義~移転価格税制~

皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。引き続き、移転価格税制について詳細を執筆いたします。

 

少し難しい内容となりますが、移転価格文書の作成をご検討中の皆様、既に移転価格文書の作成を行った皆様に価値のある内容をお届けいたしますので、ご確認頂ければ幸いです。

 

今回は、移転価格税制の独立企業間価格算定方法の1つである「再販売価格基準法(RP法)」の要件についてです。前回の「RP法の長所及び短所」と併せてご確認ください。

 

【RP法による独立企業間価格選定の要件】

再販売価格基準法による独立企業間価格の要件は、①特殊関係にない者(以下、「非関連者」という。)からの棚卸資産の購入であること、②国外関連取引と「同種又は類似の棚卸資産」であること、③比較対象取引が、国外関連取引と売手の果たす機能その他において差異が存在しないことであり、国外関連取引と差異がある場合には、その差異を調整することができることとされている。

 

<「同種又は類似の棚卸資産」の意義>

再販売価格基準法に関する比較可能性の要件である「同種又は類似の棚卸資産」の意義について確認された「法人税更正処分取消等請求事件 東京地方裁判所 平成29年4月11日判決(英語教材輸入販売事件/東京地裁判決)」において、「同種又は類似の棚卸資産の意義は、国外関連取引に係る棚卸資産と性状、構造、機能面において同種又は類似である棚卸資産をいう」としている。

また、「再販売価格基準法における国外関連取引に係る再販売取引の棚卸資産と比較対象取引の棚卸資産は、条文上、独立価格比準法のように「同種」(措置法66条の4第2項1号イ)のものに限定されておらず、「類似」(措置法施行令39条の12第6項)のものでも足りるとされているのは、再販売価格基準法が、独立価格比準法のように比較対象取引の価格をそのまま独立企業間価格とはせず、一定期間にわたる類似取引における通常の利益率(具体的には売上総利益率に必要な差異調整を加えた割合)から独立企業間価格を算定するものであり、売上総利益率に影響を及ぼす重要な要素が、再販売者の果たす機能等であって、製品の内容や提供される役務の内容自体の同種性ではないという考え方の表れであるともいえる」と判示し、独立価格比準法について定める「同種の棚卸資産」より範囲が広い理由についても言及している。

 

いかがでしたでしょうか。移転価格税制は値付けのコンサルティングと同義であり、(価格そのものを是正されるため)もし問題が起こったときの追徴税額等も多額になる傾向があります。そのため、移転価格関連のコラムでは、少し表現が難しくなりますが、内容を詳細に記載しております。網羅的に情報を記載する予定ですので、何度もお読みいただきご確認頂ければ幸いです。

 

【筆者紹介】

JGA税理士法人

代表社員/税理士 片瀬 陽平

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはタイに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にタイ移転価格税制協力会の発起人としてタイ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる。