外国親会社へのマネジメントフィーの支払い~租税条約の届出してますか?~

皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。今回のコラムは、「外国親会社へのマネジメントフィーの支払い~租税条約の届出してますか?~」です。

 

企業の多国籍化が進み、かつ、円安の影響でグループの親会社が外国資本となることに拍車がかかっている昨今において、このような多国籍企業は管理部門をグループの1法人に集約し、各グループ会社のマネジメントを行うことが多くあります。

 

このマネジメントフィーの支払いが今回のテーマです。

 

【国内法における課税関係】

当該グループの1法人(外国法人)に対するマネジメントフィーの支払いについては、日本の国内法では「人的役務提供の対価」として、20.42%の源泉税が課されることとなります。

 

【租税条約における課税関係】

租税条約においては、こちらの「人的役務提供の対価」については、一般的に事業利得としてOECDモデル租税条約7条の「PEなければ課税なし」の原則により、源泉地国(この場合には日本)において課税を受けないこととなっています。

 

つまり、国内法では課税義務があり、その上位概念の租税条約において課税を受けないこととなる取引になるでしょう。

 

この場合には、租税条約の適用を受けるために、その適用を受けようとする当該グループの1法人(非居住者である外国法人)は、対価の最初の支払いを受ける日の前日までに、支払者(居住者である内国法人)の所轄税務署長に「租税条約に関する届出書」を提出する必要があるのです。

 

※ポイント※

あくまでも提出は、当該グループの1法人である「非居住者/外国法人」が行うものであるが、彼らは非居住者で日本語の届出書を提出することができない。そのため、支払者となる「居住者/内国法人」が彼らに変わって提出することになるかと思います。

 

【租税条約の届出の注意点】

①特典条項に該当しないか(Treaty Shopping/条約漁りに該当しないかの判断)

②居住者証明書の提出(相手国において課税を受けるべきものとされる居住者の証明)

 

租税条約を適用するときには、日本の国内法を利用しないこととなるため、このような届出書を提出することが原則となります。考え方では「PEなければ課税なし」となり、理解されている方も多いですが、それに伴う手続きについてもしっかりと認識することが必要です。

 

<参考情報>

国税庁HP:租税条約に関する届出書

 

【筆者紹介】

JGA税理士法人

代表社員/税理士 片瀬 陽平

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはタイに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にタイ移転価格税制協力会の発起人としてタイ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる