なぜ内部統制実務から始めるのか?~海外子会社管理~

皆様こんにちは。JGA税理士法人/税理士の片瀬です。今日は、最近問合せの多い、海外子会社管理についてコラムをお届けします。

 

弊社では、JGAタイ法人と連携して、日本とアセアン各国(特にタイ)の両面からクライアントのサポートを行っています。この海外子会社管理という業務についても、「日本親会社」と「タイ子会社」の両社の意向を汲み取り、最適解の提案をするため、両面からのサポートは必須のものとなります。

 

さて、海外子会社管理を行う上で、我々はクライアントの皆様にまずは会計数値をしっかりと作ることが一番重要とお伝えしています。正確なFS(Financial Statement=財務諸表)ができていないのであれば、そのための業務フロー構築(内部統制実務)ですと。

 

今日は、その考え方を皆様にお伝えしようと思っています。

 

まずはガバナンスという言葉を聞いて皆様は何を思い浮かべるでしょうか。ガバナンスは「企業統治」のことですが、このガバナンスという言葉、、、企業統治といわれても、なお漠然としていてよくわからないものではないですか?

 

ガバナンス=内部統制+リスクマネジメント+コンプライアンス+モニタリング+etc・・・・・

 

ガバナンスの重要性は分かるけれども、何を行うべきか、具体的な実務に落とし込めないというお客様が多くいます。それは言葉の定義が広く、(ガバナンスという言葉は構成要素をたくさん含んでおり)具体的ではないからに他なりません。

 

また、日本親会社からも、ガバナンスの重要性ばかりに注目し、具体的実務に紐づけられていない指示が多いため、益々分からないものとなっているという側面も否めません。

 

断言します。ガバナンスの核となるものは会計数値です。まずはその部分から確認しましょう。

 

 

これは一般的な機関システム連携図ではありますが、この図から分かるとても重要なことがあります。それはなんでしょうか。

 

それは、、、、

 

「ビジネス上の全ての事象は、会計数値に行き着く」ということ。

 

事象の終着点は会計数値であることは、ガバナンスを考える上でとても重要なものです。

 

 

つまり、この図のレイヤーによって必要なガバナンスが異なることになります。よく起こるコンフリクトとしては、日本本社は外側のガバナンスを検討しているのに、海外子会社は内側のガバナンスで応えているというもの(両者の指向性の違いからくるもの)です。自分たちがどこのレイヤーにおいて会話しているかを明確にしなければ、ガバナンスを達成することは難しいという実態があるのです。

 

内部統制実務において、必要なアサーション(実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適正性、表示の妥当性)は、業務プロセスの結果としてのFSに対するアサーションとなります。つまりガバナンスを上記のレイヤーで捉えると一番内側のもの(内部環境)と考えることができます。

 

つまり業務フローとそれに紐づくRCMは、ガバナンスの土台となります。

 

ここをしっかりと作らなければ、外部環境リスク_ミクロの分析に移れません(移ったとしても、統治の結果としての会計数値に適正に反映されず、当該統治が評価のできないものとなる可能性がおおいにあるのです)。

 

今日のコラムはここまで。「なぜ内部統制実務から始めるのか?」について、その答えは「ガバナンスの土台となるFSを適正に作成するため」となります。海外子会社からのFSが遅い、不正確、網羅性にかけるなど不安がある会社様は、ガバナンスの土台を作るためにも、是非ご連絡ください。

 

【筆者紹介】

JGA税理士法人

代表社員/税理士 片瀬 陽平

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはタイに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にタイ移転価格税制協力会の発起人としてタイ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる