非居住者の銀行口座開設~日本銀行口座を開けない日本人(非居住者)が増加~

皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。今回のコラムは、「非居住者の銀行口座開設~日本銀行口座を開けない日本人(非居住者)が増加~」です。日本では現在「非居住者の銀行口座開設(特にメガバンク)」がかなり厳しくみられ、新規口座開設がほとんどできない状況が続いています。たとえできたとしても、相当の時間がかかることは請け合いです。以前に書いたコラム(銀行口座の開設ができません~日本人なのに日本口座が開けない~)では、OECD(経済協力開発機構)における金融機関監査部会において、日本の金融機関の格付けが一向に上がらないため、金融庁からの口座開設の締め付けが厳しくなっている旨を記載しました。今日はその続きですので、前回の記事を含め楽しんで頂ければ幸いです!

 

金融庁からの厳しいお達しのため、銀行独自のレギュレーションを作り、口座開設のチェックを厳しく行っているという現状があります。ここの考え方が「疑わしきは罰する(開設させない)」なのです。

 

非居住者になる個人の場合には、非居住者口座(非居住者向けサービス)に移行するか、居住者口座(今まで通り ※ただし、住所(住民票)がなければ長期間は難しい)を維持するか。居住者口座を維持できれば問題ないですし、非居住者口座があれば、制約はありますがお金のやり取りは可能です。ただし、銀行によっては、非居住者口座(サービス)そのものがなく、口座解約を求められる可能性があるのでこれが注意です。解約したら非居住者である限りは日本口座の開設が非常に難しくなるということは念頭に置きましょう。

 

次に国内法と租税条約を理解しましょう。

 

日本の国内法では住所がある者は「居住者」となりますが、国によっては183日以上住んでいると「居住者」とされる国もあります。日本に住所を残して、他の国に183日以上住む、となると両国の居住者になってしまいます(両国で全世界所得課税?)。それを調整するために租税条約があり、居住者の規定はそちらにも記載されています(つまり、租税条約と国内法において共に規定されている)。基本的には租税条約が優先(プリザベーションクローズ)されるため、そのような場合においても、どのように取り扱われるかを事前に確認することが重要です(一概には言えませんが、住民票を入れっぱなしでも非居住者とみなされることもあります)。

 

アセアン各国への日系企業の進出が盛んだった2000年代初頭から20年以上の時間が経過しました。

 

その間に日本の各銀行のレギュレーションは大きく変わり、現在では非居住者からの日本への送金すらままならなく(着金の時に内容確認されて、場合によっては各種書類を求められるように)なっています。当時40代だった方たちも今では60代となり、日本に戻ってと自身のライフプランを考え始めるようになります。ただし、現地ビジネスもあるため現地の生活からは離れられない。そのような方たちが今、非常に多いのです。また、60代の今になって、日本の社会保障制度の価値に気がつくのです(海外での医療費は高すぎるし、医療がビジネスとして行われていますので)。※両国のおいしい部分を享受したいのであれば、事前のスキーム作りです。

 

では、実際にどうしましょうか。

 

非居住者個人では日本に銀行口座開設はできないので、多くの方は、日本に法人を作って「法人口座」を開設する方法を模索することになるのです。自分の会社を設立すると社保にも加入できますからね。

 

グローバル化が進み法人設立の制度は確かに整備されています。ただ、それでも法人口座開設が今はかなり難しいのです。※法整備と銀行レギュレーションの矛盾

 

会社の代表取締役の居住地の制限規定は撤廃(平成27年3月16日民商第29号通知)され、現在では代表取締役全員が非居住者であっても日本において会社を設立することは可能となりました。会社を設立したら、資本金を入れてビジネスをスタートするのですが、、、資本金を入金する口座の開設ができないのです。会社を設立したのに、口座開設ができないという状況が、今はいたるところで起きています(基本的に、役員全てが非居住者の場合には、よほどの信用力(例えば、母国の母体企業が大企業など)がなければ、口座開設は難しいと考えてください)。そして、我々にも、にっちもさっちもいかなくなった後に相談が来るのですが、もはや限られた方策しか取れません。

 

この話は、口座開設者の居住性に関わり、居住性の部分は相続税の規定にも大きくかかわってきます。日本の相続税額は他国に比べてあまりにも高いことは周知の事実かと思います。

 

ポイントは、次の通りです。

①相続人のステータス:非居住者(住所もっていなく、過去10年の間にも住所ない)

②被相続人のステータス:非居住者(住所もっていなく、過去10年の間にも住所ない)

※相続税対策を考えるとこの状態がゴールデンタイムです。このときにスケジューリングしてスキーム組まなければ、日本の相続税の範疇に入ることとなります。ご注意ください。

※全体のライフプランを考える際に、相続税や所得分散などの全体像において落としてはいけない部分はしっかりと検討するようにしてください。

 

我々は「インバウンドサポート」を行っており、これらの状況も常にアップデートしています。海外と日本を含めた今後のライフプランをご検討の方は全体像をご確認ください。かなり難しい部分なので、何かございましたらお気軽にご連絡ください。引き続きよろしくお願いいたします。

 

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