みなさまこんにちは。税理士の片瀬です。
今日は「会計業界の給与事情」についてお話ししたいと思います。会計業界(経理含む)における30歳~39歳の平均年収は422~462万円(以下、「平均年収450万円」と記載)程度です。
どうでしょう?イメージどおりでしょうか。よく税理士の年収がウェブ上に出ていますが、税理士受験生や会計事務所のスタッフの給与とは異なります(↑は税理士・会計士ではない会計事務所スタッフの給与の平均です)。
例えば、JGA税理士法人は渋谷にあります。もし結婚して子供がいたら、渋谷近郊で450万円の平均年収では生活がかなり厳しい。最低でも(今のその年齢で)600万円くらいなければ厳しいと言わざるを得ません。
現状、そのような(平均年収の)会計事務所で働いている方は、一刻も早く転職を考えた方が良いと個人的に思います。40歳になると転職が一気に難しくなりますので、30代のうちに人生のデザインが必要です。
では、会計業界は、なぜこのような給与水準になってしまったのか・・・?
事務所運営にて、600万円のスタッフの維持コストは直接費ベースで900万円くらいかかります。ただ、会計事務所には管理部門などのコスト部門もあるため、営業利益をトントンで回すためには、従業員1人当たり1,200万円くらいの売上(直接費+間接費をまかなう損益分岐売上)が必要です。
ずばり!600万円の年収の従業員を養うのに必要な売上は1,200万円です。
ただし多くの会計事務所の1人あたりの売上高は1,000万円程度です。そのため会計事務所の30代の平均年収も450万円程度になってしまうのです。給料を潤沢に払うためには、この1人あたりの売上高を1,500万円~2,000万円に上げることが必要です。
※ここのロジックがめちゃくちゃ重要です。要は稼げない会計事務所は給料も低いという当たり前の構図です。
当たり前のロジックなので、どの会計事務所の所長も気がついています。それでも売上を上げることが多くの場合できてはいません。会計業界では至るところで業務の陳腐化が起こっています。
業務の陳腐化・・・・価格競争(値下げ)でしか戦えない・・・・
会計業界では、近い将来にAIやロボティクスにより、ほとんどの業務が置き換わることでしょう。未経験や業界の経験が浅い方では、この陳腐化する業務が見抜けないため、売上が取れない会計事務所に就職してしまうのです。特に未経験者の方がイメージする会計業務は、価格がますます安くなっていく昔からの会計業務である可能性が高いです。
見抜けない場合には、「なんか勢いがありそうだな」「かっこいいことやっているな」という評価でもいいかもしれません。会計業界への就職活動で一番重要なことは”成長している会社に入社すること”です。就職活動の最中において、成長している会計事務所か否かを、どのように見抜くかが重要です。
「年間の売上高成長率はどれくらいですか?」と面接時に直接聞いてしまうのが良いと個人的に思います。
※また、「修行のため多少ブラックでも我慢して頑張ろう」は、独立する気がなければ絶対にダメです!これもポイントです!
知り合いの税理士や、周りの会計事務所をたくさんみていると、会計業界は二極化していると切に感じます。成長している事務所に入ること。まずはこれだけを心がけてもらえればと思います。
JGA税理士法人の採用は、将来的な関係をつくれる(つくりたい)方を積極的に募集しています。「成長する組織で、成長する仲間と。」ご興味があればお問合せください。
【筆者紹介】
代表社員/税理士 片瀬 陽平
税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはアメリカに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にアメリカ移転価格税制協力会の発起人としてアメリカ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる