こんにちは。税理士の片瀬です。
今回は帰国した年の確定申告についてです。帰国するまでの非居住者期間については、日本国内で発生した「国内源泉所得」のみの課税となり、帰国したあとの居住者期間については、日本国内外で発生したすべての所得「全世界所得」の課税となります。
つまり、非居住者期間における、海外勤務に基づき支給される給与は国外源泉所得であるため、日本国内で課税されることはありません。※ただし、役員に該当する場合を除く
この海外赴任から帰国した年の日本における確定申告は以下の通りです。諸控除についても通常通り適用することになります。
①確定申告書の提出(所得税法102条、120条、121条)
その年の1月1日から帰国する日までの非居住者であった期間に生じた「特定の国内源泉所得」と、帰国後その年の12月31日までの居住者であった期間に生じた総合課税の対象となる所得の金額とを合計し、帰国した年の翌年の2月16日から3月15日までの期間に、住所地の所轄税務署長に確定申告書を提出します。
注1)給与所得以外の所得及び特定の国内源泉所得の金額の合計額が20万円以下の場合には、確定申告書の提出は必要ありません。
注2)帰国時から12月31日までの給与所得の総額が2千万円を超える場合には、確定申告が必要となります。
②諸控除の計算(所得税法第4節、所得税法基本通達164、165条、所得税法施行令258条)
(ⅰ)医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料、小規模企業共済等掛金の控除計算
医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料、小規模企業共済等掛金の各控除額の計算は、居住期間内に支払った金額をその控除額の計算の基礎とすることとなります(国外の社会保険料、生命保険料、地震保険料はその対象とはなりません)。
(ⅱ)扶養、配偶者、障害者、寡婦(夫)、勤労学生の控除計算
扶養、配偶者、障害者、寡婦(夫)、勤労学生の各控除額の計算は、その年の12月31日の現況により計算することとなります。
(ⅲ)雑損控除の計算は、居住者及び非居住者期間に生じた所得金額・損失額を通算し、その年分の控除額を計算します。
(ⅳ)外国税額控除については、非居住期間内に生じた所得はないものとして取り扱います。
【記事まとめ】