独立価格比準法(CUP法)の要件及び意義~移転価格税制~

皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。引き続き、移転価格税制について詳細を執筆いたします。

 

少し難しい内容となりますが、移転価格文書の作成をご検討中の皆様、既に移転価格文書の作成を行った皆様に価値のある内容をお届けいたしますので、ご確認頂ければ幸いです。

 

今回は、移転価格税制の独立企業間価格算定方法の1つである「独立価格比準法(CUP法)」の要件についてです。前回の「CUP法の長所及び短所」と併せてご確認ください。

 

【CUP法による独立企業間価格選定の要件】

独立価格比準法による独立企業間価格の要件は、措置法66条4②(一)イより、①特殊関係にない売手と買手であること、②国外関連取引と「同種の棚卸資産」であること、③比較対象取引が、国外関連取引と取引段階、取引数量が「同様の状況の下」で行われることであり、国外関連取引と差異がある場合には、その差異を調整することができることとされている。

 

<「同種の棚卸資産」、「同様の状況の下」の意義>

独立価格比準法に関する比較可能性の要件である「同種の棚卸資産」、「同様の状況の下」の意義について確認された「法人税更正処分等取消請求控訴事件 高松高等裁判所 平成18年10月13日判決(船舶建造請負取引事件/高松高裁判決)において、「同種の棚卸資産」の取引と認められるためには、資産の性状・構造・機能の面で、物理的・科学的な相当程度の類似性が必要となり(ただし、多少の差異があっても、価格に影響を及ぼす程度のものでなければこれを同種の取引であると判断し、合理的な方法によってその差異を調整することが可能であれば同種の資産とする。)、また、「同様の状況の下」でされた取引と認められるためには、取引の段階、数量、時期、引渡条件、支払条件、取引市場等について類似性が必要なものと解されると判示し、これらの意義を明確にしている。

 

いかがでしたでしょうか。移転価格税制は値付けのコンサルティングと同義であり、(価格そのものを是正されるため)もし問題が起こったときの追徴税額等も多額になる傾向があります。そのため、移転価格関連のコラムでは、少し表現が難しくなりますが、内容を詳細に記載しております。網羅的に情報を記載する予定ですので、何度もお読みいただきご確認頂ければ幸いです。

 

【筆者紹介】

JGA税理士法人

代表社員/税理士 片瀬 陽平

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはタイに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にタイ移転価格税制協力会の発起人としてタイ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる。