原価基準法(CP法)の要件及び意義~移転価格税制~

皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。引き続き、移転価格税制について詳細を執筆いたします。

 

少し難しい内容となりますが、移転価格文書の作成をご検討中の皆様、既に移転価格文書の作成を行った皆様に価値のある内容をお届けいたしますので、ご確認頂ければ幸いです。

 

今回は、移転価格税制の独立企業間価格算定方法の1つである「原価基準法(CP法)」の要件についてです。前回の「CP法の長所及び短所」と併せてご確認ください。

 

【CP法による独立企業間価格選定の要件】

原価基準法による独立企業間価格の要件は、①非関連者からの購入又は製造等により取得した棚卸資産の非関連者への販売であること、②国外関連取引と「同種又は類似」の棚卸資産であること、③比較対象取引が、国外関連取引と売手の果たす機能その他において差異が存在しないことであり、国外関連取引と差異がある場合には、その差異を調整することができることとされている。

 

<「同種又は類似の棚卸資産」の意義>

原価基準法に関する課税要件である「同種又は類似の棚卸資産」の意義について確認された「法人税更正処分取消請求事件 大阪地方裁判所 平成20年7月11日第2民事部判決(電子部品輸出取引事件/大阪地裁判決)」において、「同種又は類似の棚卸資産の意義は、国外関連取引に係る棚卸資産と性状、構造、機能面において同種又は類似である棚卸資産をいう」としている。

また、「原価基準法について定める措置法施行令39条の12第7項に規定する「同種又は類似の棚卸資産」は、独立価格比準法について定める措置法66条の4第2項1号イに規定する「同種の棚卸資産」より広く、国外関連取引に係る棚卸資産と性状、構造、機能等の面において類似である棚卸資産を含み、これらの一部について差異がある場合であっても、その差異が措置法66条の4第2項1号ハに規定する通常の利益率の算定に重大な影響を与えないと認められるときは、同種又は類似の棚卸資産として取り扱うことができること」と判示し、独立価格比準法について定める「同種の棚卸資産」より範囲が広い理由についても言及している。

 

いかがでしたでしょうか。移転価格税制は値付けのコンサルティングと同義であり、(価格そのものを是正されるため)もし問題が起こったときの追徴税額等も多額になる傾向があります。そのため、移転価格関連のコラムでは、少し表現が難しくなりますが、内容を詳細に記載しております。網羅的に情報を記載する予定ですので、何度もお読みいただきご確認頂ければ幸いです。

 

【筆者紹介】

JGA税理士法人

代表社員/税理士 片瀬 陽平

税理士業界が変遷する中、国際ビジネスのみが残された最後の領域であると考え、税理士法人時代から国際ビジネスに長く携わる。国際ビジネスには2種類(日本側・現地側が)あり、現地ビジネスに関しては、現地に駐在しなければクライアントにベストプラクティスの提案ができないと考え、2013年にメキシコに渡り、現地会計コンサルティングファームの立ち上げを行う。渡墨後は、日系企業のメキシコ進出サポート及び現地日系企業への経営コンサルティング(事業計画/年度予算作成、内部統制・不正調査、各種DD、連結パッケージ作成など)を主に行っていた。2016年にはタイに渡り、Bridge Note (Thailand)Co.,Ltd.(現BM Accounting Co.,Ltd)を立上げ、次いでインドネシアのPT. Bridge Note Indonesiaの移転価格事業部を組成した。また、2018年にタイ移転価格税制協力会の発起人としてタイ移転価格税制サービスレベルの底上げを行う。専門領域は、経営コンサルティング、インバウンド支援、国際税務コンサルティング、社内DX化など多岐にわたる。