国際税務~税務調査で寄附金として指摘さるケースが多すぎる~

皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬と申します。

今回のコラムのタイトルは「5分でわかる国外関連者に対する寄附金~税務調査で追徴されるケースが多すぎる~」です。以前執筆した「調査での指摘の多い項目「国外関連者に対する寄附金」について」に反響があったので、今回は更に分かりやすく、ポイントを絞って記載してみます。

全部読むのに5分かかりません。ポイントだけを記憶してもらえればと思います。是非ご確認ください!

まず、寄附金課税を考える上で、「対価性の有無」を検討しなければなりません。対価性の有無とは、反対給付があるかです。もっと簡単に言えば、(親会社が子会社に)お金を払うのに(子会社から)何かしてもらったかです。

寄附金課税で指摘されてしまうと100%が損金否認されて税金がかかってしまいます。

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寄附金課税と否認されると100%課税されてしまうので、寄附金課税と否認されないストーリーが必要となります。

①「対価性がない取引」

②「対価性はあるが低額な取引」

③「対価性があり正当な取引」

④「対価性はあるが高額な取引」

このように4つに分類できるのですが、絶対に①の「対価性がない取引」を形として作らないでください。

税務調査時に、一番危険な回答は、「海外子会社は設立間もない・金銭的に余裕がない・潰れてしまうかもしれないから、利益体制になるまでの援助でやむを得ない支出」と言ってしまうことです。一発で①の「対価性のない取引」と認定されて寄附金課税です。過年度も含めてアウトです。追徴税額と利息だけでかなりの金額に上ります。

なので、そのような場合においても②~③の範囲で解釈できるように契約書等の取引スキームを整えるようにして頂ければと思います。ここの②~③の判断については、移転価格の範疇であるので、「寄附金課税⇒移転価格課税」へと根拠を変えて主張(反証)できることが重要です。

昨今、日本国内では(特に中小企業において)税金があまりとれないので、国際取引を見つけると何が何でも「国外関連者に対する寄附金」で指摘してくるように感じています。経験のない海外取引、現在の顧問税理士も海外取引に強くないなど、対策が取れていない会社が多すぎるように感じます。

移転価格税制では、「対価性がある上で、価格が適正か否か」という論点になるため、税務当局も何をもって取引価格が適正でないかを主張してくることになります。つまり一気に指摘するハードルが高くなるのです(何も示さず、ただ対価性がないとして100%否認できることと、価格が適正でない根拠を示して適正価格との差額を抽出し、その差額部分を否認すること、この違いなので指摘ハードルはかなり高い!!)。

移転価格による指摘ポイントは、基本的に、原価+マークアップできているかの確認になるかと思います(取引自体が逆ザヤとなっていないか、つまり赤字になっていないかということ)。サービス提供であれば原価となる人件費+旅費交通費など、金利であれば調達金利など、抑えるポイントをしっかり押さえて取引スキームを整えていただければと思います。

まずは①「対価性のない取引」と指摘されないこと!!!

これだけを守って頂ければ、国際取引における税務調査による指摘は格段に少なくなります。まずはここから始めてください。よろしくお願いいたします。

 

【まとめ】

日本側:国外関連者に対する寄附金

海外側:赤字事業年度の支払い