皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。今回のコラムは「戦略メモシリーズ⑤~価値ドライバーとは~」です。
価値ドライバー(Value Driver)とは、企業価値に影響を及ぼす要因を言います。英語のDriverには推進力という意味合いがあり、企業価値(を高める)推進力という表現で価値ドライバーという用語が一般的に利用されています。あまり聞いたことのない「価値ドライバー」という単語、耳なじみがないと思いますので分かりやすく事例をもって説明します。
例えば、美容品(シャンプーや基礎化粧品)の仕入販売をしている上場会社の粗利率はどのくらいでしょうか?
実は、7~8割くらいの粗利率があります。原価は2~3割くらいなので、あまり原価はかかっていないということが分かります。
では、新規で美容品販売業を始めた会社(中小企業)があって、その会社の粗利率が5割程度であればこれらの上場会社と勝負になるでしょうか?
正直なりません。
では、直ぐに粗利率7~8割を達成できるでしょうか?
正直できません。
大手美容品販売業を行っている会社は大量発注という裏技をもっているため、中小企業者に比べて(悔しいですが)単価を著しく下げることが可能です。
でも一度始めたビジネスであり、なんとか勝負をしなければならない。それならば・・・、粗利での勝負が難しいため・・・、これらの大手美容品販売業の営業利益率は10%程度(会社によってばらつくが基本的には10%~20%)ということに目をつける必要があります。
販管費の中で著しくお金をかけている項目とは?
A.プロモーション費
戦うとしたらここです。大手は過去からの経験でプロモーション費をかけているために、時代の最先端のプロモーションを行っていない可能性が高い(プロモーション効率が悪い)。そのため貴社においては、プロモーション効率を確認できる指標をKPIと設定するのです。
プロモーション効率をみるのに、一般的に使われる指標は、ROAS(Return on Advertising Spread)というものですが、自由に変形して、自分たちの使いやすい指標を作り出しても構いません。
【ROAS】
増加売上高/プロモーション費×100
例えば、「増加粗利益/プロモーション費×100」などが使いやすい指標になります。これはロット数を(大量購入を)加味した大手のプロモーション効率に自社のプロモーション効率が勝っているかをみるために非常に使いやすい。
※型にはまらず自由な発想で作った方が成果に直結することが多いです。
【自己創出指標(ROASの変形)】
増加粗利益/プロモーション費×100
これがKPIとなります。そしてこれを構成する要素が、本日のメインディッシュである「価値ドライバー」となるのです。
【価値ドライバー】
①販売チャネル増加数
②PV増加数
③口コミ増加数
④口コミ評価
⑤定期購入割合
⑥定期購入移行率 など
※化粧品業界には実際にコンサルを行っていないので価値ドライバーは不確定です。ここは社長とのコミュニケーションの中で決めていく項目(餅は餅屋に)。
どうでしょうか?戦略とはシンプルなものだと思いませんか?
次回は、「戦略メモシリーズ⑥~価値ドライバーを従業員の行動に落とし込め!~」です。経営計画作成の当面の目標は、経営者の作った経営計画(長期事業計画、KGI、KPIなど)を、従業員の行動として表現することにあります。
計画 ⇒ 行動 ⇒ 結果
※計画と結果をつなぐ役割のため「行動」は分析において非常に重要!
【次回予告】
戦略メモシリーズ⑥~価値ドライバーを従業員の行動に落とし込め!~
【まとめ】