皆様こんにちは、JGA税理士法人/税理士の片瀬です。今回のコラムは「戦略メモシリーズ⑥~価値ドライバーを従業員に落とし込め~」です。
前回のコラムで、KPIと価値ドライバーとの関係については、ある程度理解できたかと思います。KPIはあくまでも財務指標(経営指標を含む)であり、それを構成する要素が「価値ドライバー」となります。そして「価値ドライバー」は従業員の「行動計画」を作成するための基礎となるのです。
<戦略メモ>
- 経営
KPI:税務指標又は経営指標
↓ブレイクダウン
- 業務
価値ドライバー:行動計画の要素
イメージを高めるために図を挿入しますので、ご覧ください。
具体的な従業員の行動計画(業務)とつなげるために、まずは営業部門のKPIを設定してみましょう。KPIの候補は貴社がなりたい会社像である上場会社(第4回)からもってくるとやりやすいので、どのような将来像を見据えているかを基に設定していきます。
上記の図ではKPI候補として5つを設定しています。これを構成する要素がまさに「価値ドライバー」となります。この上で、実際のコンサルティングにおいては、「緊急性」と「重要性」を分析することとなります。本来は「緊急性」と「重要性」のマトリックスを使ってマッピング(貴社のポジション(経営サイクルにおけるポジション)において、どのように「緊急性」と「重要性」を判断していくべきかなど。)を行っていきますが、ここでは結果のみを確認していきます。
この「重要性」と「緊急性」からのKPI該当性をここで判断し、メインKPIとサブKPIを決定します(幅広に設定するとぶれるので2つくらい)。それと共に当該KPIを構成する「価値ドライバー」をピックアップし、個別に従業員に落とし込んでいくのです。
例えば、社長がストックビジネスへ移行していくことを最も行いたいと考えていても、営業マンがストックビジネスの商材について積極的に話さなければ、受注はできません。そのためKPIとしてストック移行率(ストック収入割合など)を設定し、それに基づく価値ドライバーを従業員の行動計画に落とし込むのです。つまり営業先で積極的にストック商材について話しなさいってことです。
営業マンが訪問しなければストック商材は売れません。従業員の行動計画は1日2件の顧客訪問と設定してもいいでしょう。はたまた見積書を提出しなければ、ストック商材は売れません。従業員の行動計画は1日2件の見積提案と設定してもよいでしょう。ただし、量だけを増やしても受注率は増えません。質をどのように高めるかを価値ドライバーとしても良いでしょう。
また、受注率だけをみると、提案数をあえて減らした方が、受注率につながる場合も考えられます。そうするとKPI候補は果たして「受注率」が正しいのかという検討が必要になる可能性も考えられます。「受注率」ではなく、「受注額」が正しいのではないか?
それとも、この部分は前提として設定をするべきか。具体的には、「ノルマ:1日1件の見積提案」「評価対象:受注件数」「KPI:受注率」のように。
ここは社長と喧々諤々と話し合って決めていくコンサルとしても楽しい部分です。楽しんで作った行動計画を従業員が達成してくれた時の喜びは格別です。
【近年の行動計画作成のポイント】
落ちこぼれ社員を作らない/社内競争はほどほどに
※チームで1つの目標に向かっているという雰囲気を出すことが重要です。辞めるので。
次回は、「戦略メモシリーズ⑦~具体的な中期事業計画の策定~」です。第一回の事業計画作成は、あくまでも体系理解に留めましたが、次回は実際の策定に踏み込んでいきます。
販売業:売上設計
製造業:コスト設計
※まずはこの設計が非常に重要!
【次回予告】
戦略メモシリーズ⑦~具体的な中期事業計画の策定~
【まとめ】